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日本で起業するための事業計画書作成方法

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最初に知っておきたい日本で起業するための事業計画づくりのポイントをご紹介します。

事業計画書とは

事業計画書とは、起業するビジネスの概要や指針、資金計画や事業の見通しなどをまとめたものです。これは、起業家自身が事業の強みや弱み、機会や脅威と向き合い、事業の見通しを明確且つ客観的に把握するための重要なツールです。また、金融機関からのプロパー融資や制度融資など資金調達の際にも、企業や事業の概要説明資料として有効です。事業者の事務所がある都道府県から事業内容を評価してもらう「経営革新計画」の計画書作成等、経営活動の様々な局面で利用できます。

起業の動機

起業に至るまでの経営者の熱い想いやきっかけは非常に重要です。自身の夢や目標、そしてその実現に向けた決意を具体的に語ることで、事業計画書に説得力が増します。例えば、ある経験をしたことで特定の市場ニーズを認識するきっかけを得て、それに応えるために新サービス提供を目指すことになった、といった具体的なストーリーを述べます。

経営者紹介

起業する事業に関連した知見や経験を紹介します。例えば、過去にどのような業界でどのような役割を果たしてきたのか、どのようなスキルや知識を持っているのかを具体的に記載します。経営者の独自性や希少価値となり得る強みを明確に示すことで、関係当事者や潜在顧客からの信頼を得ることができます。

事業の概要

事業内容について、以下の三つの観点から詳しく説明します。
1. 誰に:提供地域、対象顧客の年齢、性別、その他の属性
2. 何を:提供する商品やサービスの内容
3. どのように:提供するチャネルや商品・サービスの認知方法
また、事業のセールスポイントとして、経営者の強みをどのように活かし、競合との差別化を図るのかを具体的に記載します。事業化戦略については、強みや弱み、事業機会、商品やサービスの開発リソース、販売チャネルの確保方法、マネタイズのポイント、持続的な利益の見込みについて具体的に述べます。

取引先との取引関係

製品やサービスの品質を維持するためには、信頼性の高い仕入れ先を選ぶ必要があります。また、仕入れコストや納期の条件も考慮しなければなりません。
販売先に関しては、将来的な取引規模も見越した安定した販売チャネルを想定することが求められます。具体的には、ターゲットとなる顧客層を明確にします。例えば、一般顧客を対象とする場合、年齢や性別、ライフスタイルなどの属性を考慮してペルソナを設定します。

従業員の雇用予定

事業の成功には優秀な人材の確保が不可欠です。起業後5年間程度の従業員雇用予定を具体的に計画します。求める人材や役割と人数を明確にし、事業の発展に応じた適切な雇用計画を立てることが重要です。急激な事業拡大に伴う大量雇用計画は、経営基盤構築上のリスクを伴うため、現実を見据えて慎重に計画を進める必要があります。

創業者の借入れ状況

創業者自身の借入れ状況も事業計画において重要な項目です。個人用借入れ状況と事業資金借入れ状況を明確にすることで、金融機関や投資家に対する説明の透明性を保ちます。
個人用借入れ状況では、住宅や車のローンなど、創業者が抱える個人的な負債を把握します。これにより、創業者の信用力や返済能力を評価することができます。
事業資金借入れ状況では、事業の運転資金や設備投資に必要な資金をどのように調達するかを具体的に示します。例えば、金融機関からの融資や親族・友人からの借入れなど、多様な資金調達方法を検討します。既に発生している借入れに限らず、将来的な資金調達も継続的にビジネスを運営する上で非常に重要なポイントです。事項で詳しく説明します。

必要資金とその調達方法

事業を開始するためには、必要な資金とその調達方法を明確にすることが不可欠です。資金調達計画には、必要な資金とその用途の内訳を詳細に記載します。

必要な資金を使用目的ごとに分類し、金額の内訳を示します。

• 設備投資:具体的な購入設備の内訳を示します。例えば、オフィスの賃貸費用や機器の購入費用などです。
• 運転資金:家賃や給与など、日常的な経費の内訳を示します。

必要な資金の調達方法を、調達方法ごとに内訳を示します。

• 自己資本:出資者ごとの出資金額を明確にします。例えば、創業者自身の資金や投資家からの出資などです。
• 借入:金融機関ごとの借入金額を具体的に示します。プロパー融資や信用保証協会を通じた制度融資、日本政策金融公庫からの借入れなど、様々な選択肢を検討します。

資金調達の現状を示します。

出資者や金融機関との具体的な相談の進捗状況を示します。特に自己資金の総額に対する割合は重要な指標となります。金融機関との適切なコミュニケーションや経営者自身の出資比率は、経営と向き合う「本気度」を図るバロメータの一つであり事業への信頼性を高める重要なファクターです。

外国人固有の従業員雇用と資本金の論点

外国人が日本で起業するには、資本金500万円以上、または日本人か永住者を2人以上創業時に雇用する必要があります。
資本金要件は、本人が海外にいる場合など国際送金が大変です。2人雇用要件の場合、将来的な人件費を起業当初から負担するリスクがあります。
また、日本で起業できる在留資格も必要です。主なものは、経営・管理、高度人材(ハ)、永住者、定住者、日本人の配偶者等です。或いは、帰化するという選択肢もあります。

事業の展望

起業時から事業が安定する時期までの、事業収支の推移と収益状況予測を説明します。具体的には、事業計画3~5年間の売上や利益とその根拠を示します。
なぜその規模の売上が達成できるのか、なぜ毎年その成長率が持続できるのか、その根拠となる製品やサービス提供先の規模や獲得の見通しを、第三者が納得できる客観的理由を添えて具体的に述べる必要があります。
「事業の概要」で述べた内容を、将来に向けて展開した際の合理的予想を示すものです。

まとめ

どんなに素晴らしい事業計画書を作成できたとしても、経営者自身が理解していなければ意味がありません。実際に融資を受けて事業を運営しながら借入金を返済していくのは経営者自身です。成功も失敗も経営者自身が背負うものです。まずは一生懸命事業を考え、計画を立て、50%ぐらいの完成度でもよいので書いてみることが重要です。それをステークホルダーに見せて意見をもらい、意見に基づき修正していくことで、より具体的・現実的な計画書に練り上げていくのです。